空間に浮かび上がる木の書 「天空書」。
書家・山本春光さんの個展を6/16(火)~6/21(日)まで、ギャラリーエッセにて開催中でございます。
『天空書』。木の優しい色合いと文字の組み合わせ。
「天空書」とは、書いた文字を木を用いて立体的に彫り、それをガラスに貼り付けることによって完成する、文字通り『天空に描かれた書』である。
「天空書」の製作者であり、書家の「山本春光」さんに、お話を伺ってきました。
フレームの中に広がる広大な空間。是非実際に見てほしい。
Q.どうやって『天空書』を思いついたのですか?
山本春光さん「書を書いているうちに、『立体的な広がりを持つどうなるのだろう』と思ったのがきっかけです。最初は小さな作品から作りまして、1文字だったんです。それから、じゃあ2文字ならどうなるのか、フレームをつけたらどうなるのか。という風に広がっていきました。そして、今回新しく書いたのがフレームも取り去った作品です。」
初期の作品群。影が浮かび上がり、1文字以上の世界を感じる。
フレームから開放された作品群「天空書・えありあ」。文字たちが今にも飛び出しそうだ。
――製作にはどれくらいの時間がかかるのですか?
山本春光さん「2文字のものになると大体2週間くらいかかります。まずは紙に元になる文字を書くところから始めます。その後、その文字に合う木を探して、形にしていきます。彫ったり、削ったり、つややかになっているのは、ヤスリを使って磨いているからです。」
――文字から書くんですね。
山本春光さん「もちろんです。まずは元の文字がないと始まりません。この文字も、草書体だとか、いろいろな字体があるというのですが、いわば私オリジナルの『春光体』です(笑)。『笑』という字はわらっているように、『楽』という字は、これは旧字体がモチーフなのですが、楽しそうな様子になるように書いています。」
――使う木も多くの種類がありそうですね。
山本春光さん「ええ、やはりその文字をあらわすのに最適な木があります。たとえば、「挑戦」という作品は、この文字を彫るには屋久杉ではないとだめだと思いまして、屋久島から取り寄せました。屋久杉にはやはり、神の力を感じるようですから(笑)。フレームもヨーロッパ材を使っています。その文字に合わせた空間を作り上げているのです。」
屋久杉をつかった作品『挑戦』。細かに波打つ木目が、燃え上がる炎の揺らめきにも見える。
――『天空書』から皆さんに伝えたいことは何ですか?
山本春光さん「文字の持つエネルギー、自然のエネルギーを感じてもらえれば、と思います。宇宙の力が自然に、木に宿り、そのエネルギーを私が受け取って、それを皆さんに『天空書』を通して感じてもらいたいです。そうしている内に、私は宇宙からの想いをつなぐ役目を与えられているのではないか、と考えるようになってきました(笑)」
――インタビューへのご対応、ありがとうございました!
『天空書』は6/21(日)まで開催中です。入場は無料ですので、近くにお立ち寄りの際は是非、ギャラリーエッセへ訪れてみてはいかがでしょうか。
ギャラリー内では、ポストカードや小物の販売もあります。